イキアタリハッタリ記録

馳瀬ナルミといづみ繭子による演劇企画イキアタリハッタリを記録してみます。

vol.3終演とその後の馳瀬のHOTトピックス

遅ればせながら、演劇企画イキアタリハッタリvol.3『穴があくほど』にご来場頂いた皆様、ありがとうございました!

無事全公演を終えることができました。

『穴があくほど』の脚本を書いた馳瀬です。

 

 

 

「あのときの恋を、あのときのあなたを、あのときのわたしを、ずっと大切にしていたいだけなのに」

 

「なんでこんなに○○なんだろう。みんなはあんなに普通に歩けているのに。わたしは、わたしが普通なのか、ヘンなのか、わかりません。」

 

「あなたの正義感が、○○ほど気持ち悪い」

 

 

登場人物三人で、この三番軸の話でした。

 

そしてわたし的にまとめてみると、

 

「他人とは一生わかりあえないし、知っていくほど気持ち悪い部分も増えていくのかもしれない。なんであなたが泣いてるの?なんであなたが喜んでるの?あなたが切り取ったわたしを全てだと思わないでほしいのに、知られたらきっとうまくいかなくなってしまうな。今日も笑顔でがんばろうね。」

 

 

こんな感じのお話でした。

 

わたしは書いた本人なので、三人ともに自分も「わかる」というとこがあるのですが、役者への質問の答えも、アンケートでも、「この人には共感できるところはあるが、この人のことはまったくわからない」というような感想があっておもしろかったです。

 

脚本を書いたり、劇を作るとき、やはりわたしは誰かにわかってほしいんだと思います。大人数の人にわかってほしくて、だから人を集めて発表しちゃうんだと思います。大人数へのわかりやすいおしゃべりなのかもしれないです。

 

 

『穴があくほど』についてのことはあまり言うと蛇足になるのではと思うので、違う話にいきます(ほんとはおしゃべりなので何度しゃべってもいいのですが…)。

 

劇場の方と雑談をしていて、劇場の方が「自分は創作において、喪失に興味があるけど、女性的にはどうか?」という話をしたことが印象に残っていて。新海誠的な、好きだった女の子の喪失。『君の名は』や『秒速5センチメートル』はたしかに男性ファンのほうが多くて、嫌いだという女性も一定数いる作品だとわたしは認識してます。で、そのときはわたしも「わたしも異性の喪失ではないけど、時間の喪失(による変化)がすごく嫌なので、そのことについて書いたことも何度かあるし、自分も好きな人がいなくなるっていうのは悲しいと思うので、そういうテーマもわかるし好きっちゃ好きですけどね〜」的なことを言ったし思っていました。

 

でも、ちょっと時間が経って考えてみると、たしかにわたしは君の名はも秒速5センチメートルもしっくりこなくて、なんでだろうと考えたとき、この二つの内容をしっかり覚えてるわけではないのでこういった男性作家の描く物語の全体の印象としてなのですが、「なんか男がおセンチぶっているとこばっかうつすけど、女の気持ち考えたことある?」と思ってるな、と気づきました。

 

これは女性作家が異性逆にして描いてもそうなり得りそう(女がおセンチぶりやがって〜〜)と思って背筋が伸びるのですが、いや、それがあるから全て悪いというわけじゃないのですが、わたし自身がそういうのを見て、「ケッ」と感じている部分もあるので、それはやだな〜と思っているんです。

 

つまり、「おまえのセンチメンタルのためにわたしを使うんじゃない」ということです。付き合って、うまくいかなくて、お互いに悪いところがあって、それで別れるという決断をしたということは、それはやはり「悪かった」っていうことで。それを後から良い思い出みたいにして、「あのときは自分も悪かったなあ」なんてわたしの姿とともにしみじみ思い出されるなんて、なんかすごくムカつきませんか??そういう風に思い出してる人は男性女性問わず、相手も同じように思ってくれてたらうれしいんですかね……?それのせいで自分たちはうまくいかなくなったっていうのに??

 

ただただ落としたものや、過ぎてしまったことを悔やんだり懐かしんだりすることはいいけど、それって、あなたのせいでもあるのに、わたしだって嫌なことだってあったのに、わたしだってあなたがいなくなって悲しかったのに、なんでいい思い出みたいにできるの?って、思っちゃいます。わたしを美しい自分とは違うものだって、わたしはいつも楽しく純粋だなんて、思わないでよって、そういったヒロインを見て勝手に自分のことみたいにプリプリしていたのかもしれません。うん、ムカつきます。わたしの涙も怒りもわたしがほんとに楽しかったことも、ひとつにまとめて美しいものみたいにしないでって、思います。

 

共感力と想像力が高すぎて、そういった経験はほとんどないのに、勝手に怒ってしまいました。

 

と、いうことを数日考えていて、ここ最近の結論は、(全員にあてはまることじゃないけど)「異性、わかりあえなさすぎ・別の生き物すぎ」ということです。

ただでさえ他人のことはわからないしわかり合えませんが、特にもっともっとわたしにとってわからない人たちがいて、そういう人たちと出会って恋して結婚したいなあなどと思うことはほんとに大変だな……と気が遠くなってしまった、という話でした。おしまい。

 

 

新型コロナウイルスやオリンピックの影響もあって、vol.4の公演はまだ未定ですが、また何かおもしろいものが作れたらいいな〜と思っています!

ぜひぜひ馳瀬といづみの活動をお楽しみに&応援してください!